执笔者プロフィール

大石 尊之(おおいし たかゆき)
その他 : 明治学院大学経済学部教授塾員 専門分野/法と経済学、ゲーム理論

大石 尊之(おおいし たかゆき)
その他 : 明治学院大学経済学部教授塾員 専門分野/法と経済学、ゲーム理論
冬が近づくと、脳里に浮かぶ言叶と景色がある。こな雪、つぶ雪、わた雪、みず雪、かた雪、ざらめ雪、こほり雪。太宰治『津軽』に出てくる7つの雪だ。私が大学教员として最初に赴任したのは、八甲田山麓の小さな大学だった。こぢんまりとしたキャンパスには、箱庭のような美术馆があり、雄大な自然に抱かれて佇んでいた。7年间の青森暮らしで、私は7つの雪をすべて経験したかは自信がないが、白银の世界そのものが私の生活の一部だった。朝から夜まで研究室で仕事をし、帰る顷には驻车场の车が雪に埋もれて姿を消している。高仓健と北大路欣也が主演した映画『八甲田山』の雪原の光景は、さながら私の日常であり、自然への畏敬と、人间の小ささ、そしてそれを超えようとする人间の强さを知った。
ある朝、猛吹雪のため不要不急の外出を控えるよう呼びかけるラジオ放送を闻き、さすがに学生は来ないだろうと思った。だが、教室にはほとんど全员がいた。雪の中を慎重に车を走らせ、薄明の街道を越えてきたのである。窓の外は猛吹雪。それでも教室の中には、静かな热気があった。私は胸の奥で头(こうべ)を垂れた。
そんな学生たちの身を案じた日がある。忘れもしない2011年3月11日、东日本大震灾が発生した日だ。初めて受け持ったゼミの1期生8名は青森県、岩手県、宫城県の出身であった。当时は春休みで多くの学生は帰省中。地震発生直后から、地震の影响で停电した市内には雪が降り始めていた。停电した暗闇のなか、雪明りを頼りに操作したラジオからとめどなく流れる、信じられない被灾地の状况を闻きながら、私は学生たちに心からこう愿った。──どうか无事でいてくれ。伝えたいことが、まだたくさんある。あの破壊的な时间の浊流のなか、幸いにも学生は全员无事であった。
この日以来、私は「未来の若者に何を伝えるか」を、研究と教育の核に据えてきた。研究者とは、どんなスタイルであれ、追い求めた真理を未来に语り継ぐ存在である。あの凛とした冬を思い出すたび、私の脳里には&辩耻辞迟;研究という白银の世界&辩耻辞迟;が広がる。その世界に、先人たちの残した无数の辙を见つめながら、自らの小さな辙を刻み、风雪に抗いながら、なおも前へと歩を进めていきたい。そう、剧中の高仓健のように。
※所属?职名等は本誌発刊当时のものです。