执笔者プロフィール

佐髙 春音(さたか はるね)
その他 : 東京大学人文社会系研究科助教塾員 専門分野/ 中国文学

佐髙 春音(さたか はるね)
その他 : 東京大学人文社会系研究科助教塾員 専門分野/ 中国文学
中学生の顷、翻訳を通してではあるけれども、初めて『水滸伝』という作品と出会った。作品内に登场する豪杰たちは、酒を饮み、肉を食らい、暴れまわり、大いに怒り、大いに笑い、时に大いに泣く。どこまでもにぎやかだ。その鲜烈な世界に衝撃を受けて、いつの间にか抜け出せなくなってしまった。あれから20余年経った今、私は研究者のヒヨコになり、『水滸伝』を中心に据えて、明?清时代の通俗小説を研究している。
この时代の通俗小説は、视覚的にもにぎやかだ。おもに明代后期以降、小説の本文に「评点」と呼ばれる付加的要素の入った书物が盛んに刊行された。评点には2つの要素がある。1つは作品の本文に対する批评者の评语(コメント)で、本文の文字横や、本文上部の余白部分に付されたり、本文の行间に挿入されたり、各话の前后に置かれたり、复数の形式がある。もう一つは、作品の読みどころを强调するために、本文の文字横に付される记号で、「ヽ」「〇」「◎」「△」など、さまざまな种类が用いられている。
とりわけにぎやかなのが、金圣叹(きんせいたん)という明末清初の文人が评点をつけた『水滸伝』だ。その评语の量は膨大で、箇所によっては本文の量を上回るほど。际立つのは文章表现に対する微细にわたる考察だが、当人の好き嫌いが露骨に表れている人物评も面白い。大好きな李逵(りき)に対しては、些细な言动も见逃さずに褒めたたえ、「李大哥(李アニキ)」と亲爱をこめて呼んだりする。一方、大嫌いな宋江に対しては、やはり些细な言动も见逃さず、それらが策谋であると力説する。私もまた李逵のファンであるため、金圣叹の评语を読みながら、「そうそう、そのとおり!」と脳内で賛同する。ただし宋江も决して嫌いではないので、「それはちょっと酷くない?」と脳内で文句をつける。头の中もたいへんにぎやかだ。
研究は冷静かつ客観的に行わなければならない。そのことは重々わかっているのだが、私の研究対象はさまざまなにぎやかさでもって、私の感情を揺さぶろうとしてくる。しかし、そのような存在でなければ、研究の道に进もうと思うこともなかったに违いない。さて、コロナ祸で楽しみが减ってしまったとお嘆きのみなさま、今宵は『水滸伝』の世界に入り込み、大いに饮んで騒ぐのはいかがでしょう?
※所属?职名等は本誌発刊当时のものです。