午夜剧场

慶應義塾

『电车で怒られた!──「社会の缩図」としての鉄道マナー史』

公开日:2024.10.18

执笔者プロフィール

  • 田中 大介(たなか だいすけ)

    その他 : 日本女子大学人間社会学部教授

    塾员

    田中 大介(たなか だいすけ)

    その他 : 日本女子大学人間社会学部教授

    塾员

「モノ」のように詰め込まれ、規則正しく乗降しなければならない満員電車──大都市に住む多くの人びとは、そのストレスを軽減するための各人各様の心がけや工夫をもっていると思う。拙文をお読みいただいている塾员?塾生のみなさんはどうだろう。本書は、そうした多様な人びとの──ズレをはらみつつ──「共通部分」と考えられた、100年にわたる鉄道の規範の持続と変化を描いている。そして、それは日本社会の自己像の歴史と現在でもある。

先日、本书のトークイベントに出た际、ドア脇に立つ人が邪魔だという方がいた。私もそこに立つことがあり、一瞬「え?」となったが、现在はリュックの前抱えが多いうえ、スマートフォンをリュックの前で操作しているからだという。言われてみると、确かにかつて以上に出入口をふさいでいる。これも新しい规范になるのだろうか。鉄道の规范は、鉄道事业者の都合で设定されることもあれば、个人の违和感が徐々に共有され、公式化されて、定着することもある。こうした微调整の积み重ねで电车のマナーは緻密になったのだろう。「そういう些事にこだわるから今の日本は……」という向きもあるだろうが、本书がグローバル化する日本社会の规范意识の现在と未来を考えるきっかけになればうれしい。

本書は偶然が重なって、無名の私に依頼があり、出版された。その偶然は、大量の人びとが──他人のまま──電車通勤を経験しているという「共通の土台」のうえで起きている。電車では不愉快なことも多く、小うるさいマナーに辟易することもしばしばだ。しかし、私を含む「匿名の他人たち」のひしめきあいのなかで盛衰する共存の技法が、そこにあると思えばどうだろう。本書が──山口瞳の小説の「江分利満 every man」のような──いかにも凡庸な名前で出たことにもなにか意味がある? と妄想しないわけでもない。ただ、とくに記さなければならない固有名がある。1999年から2019年まで文学部の社会学専攻で教鞭をとられた浜日出夫先生である。筆者はゼミ1期生で、「電車で社会学する」は先生から教わった。送り出された本当に多数の学生たちの1人として、本書を浜先生に捧げたい。

田中 大介

光文社新书

344页、1,100円(税込)

※所属?职名等は本誌発刊当时のものです。