执笔者プロフィール

叁尾 裕子(编着)(みお ゆうこ)
文学部 教授
叁尾 裕子(编着)(みお ゆうこ)
文学部 教授
ある日、台湾先住民社会の研究者から、牡丹社事件に関係した日本人が神として祀られている东龙宫という宗教施设を访问した、というメールを顶戴した。牡丹社事件とは、1871(明治4)年に台湾に漂着した琉球の人々が先住民に杀された事件と、その报復として、1874(明治7)年に日本が行った台湾出兵とを指す。政府は、琉球人を日本人と巧妙に定义づけ、犯罪捜査の名目で先住民に対する讨伐を正当化した。
この事件は、近代日本が海外植民地を持つきっかけとなった。今日なら国际法违反と非难されそうな、非自国领での军事行动を行った関係者、そして后に统治者となった日本人が、现在神となっていることを、どう理解すればいいのだろう。
じつは、台湾で日本人が神になった寺庙には、私もかつて何度か行ったことがあった。これらの神の中には、さまざまな愿い事をかなえてくれる霊験あらたかな神もいる。私はこれらの寺庙に対して漠然と违和感を感じていたが、上记の研究者から连络を受けて、これ以上この违和感を放置できない気持ちになった。
近代に入ってからの日本の「神」は、国家神道と结びつけられ、国のために命を捧げた英霊という意味を持つようになった。その文脉から考えると、台湾人も大日本帝国のために尽くした人物の霊魂を神として认めた、つまり、台湾人が日本の植民地支配を肯定している、そしてさらに言えば、台湾人が亲日であることの一つの証左がこうした信仰の中に见られる、ということになる。
しかし、本当にそうなのだろうか? なぜ彼らは日本人を神として祀るのだろうか? 本书では、50カ所近くで行った寺庙调査からこの疑问に答えようと试みた。
详细は是非本书を読んでいただきたいが、信仰対象としての日本人を台湾の汉民族の宗教信仰の构造の中で理解することで、别の世界が见えてくると言っておこう。また、今日の台湾では、日本人を祀る寺庙は宗教的な文脉を超えて、消费対象としての「日本」を生み出している。何より日本の読者には、台湾で日本が「良い」植民地支配を行ったという物语への欲望をいったん脇に置いて、本书を読んでみてほしい。
叁尾裕子(编着)
庆应义塾大学出版会
384页、5,940円〈税込〉
※所属?职名等は本誌発刊当时のものです。