执笔者プロフィール

望月 典子(もちづき のりこ)
文学部 教授
望月 典子(もちづき のりこ)
文学部 教授
私にとって子供の顷から亲しみのある西洋絵画は、东京の美术馆がコレクションしている印象派やポスト印象派の絵だった。西洋で描かれた絵画が海を渡り、日本の美术馆で展示される、まさに自律性と可搬性というタブローの特徴をよく示したものだ。西洋絵画と言えばタブロー、という认识だったが、学生の时にヨーロッパを旅行して、各地のカトリック圣堂や宫殿を饰る大规模な作品を现场で(颈苍-蝉颈迟耻)体験した时には、その场が醸し出す荘厳で神秘的な、あるいは世俗的で祝祭的な雰囲気とともに抗う术なく圧倒された。これらはまさに场所に依存し、(容易には)动かすことのできない作品群であって、タブローの対立项と言える。
17世纪のフランス人画家ニコラ?プッサンは、パリで修行したのち、殆どの活动をローマで行った。永远の都がバロックの力动的で剧场的な芸术に満たされていき、イタリアの多くの画家が大规模フレスコ画で名を成すのを横目で见ながら、彼は中型タブローに固执し続け、额縁で囲まれる空间の中に、一定の距离から凝视し、理性によって読み解くべき物语画を、イタリアや祖国の个人の美术爱好家のために描いていった。もちろんそこには様々な葛藤があったが、彼は、古典古代とルネサンスの伝统を有しながらも、情感が溢れ出る壮大なバロック美术が开花したローマの地で静謐かつ知的な世界を探求し続けるのである。
プッサンの作品は一瞥で鑑赏者を巻き込む絵とは异なり、いったん距离をおいて枠内の巧妙な构成のバランスを堪能しながら、じっくりと読む絵である。だが、そこに情感がないわけではない。强靭な知性がそれを统御し、絶妙な均衡と抑制を保つ。
彼の中型タブローはその后のフランス美术アカデミーの芸术に大きな影响を与えたことで知られている。とりわけ、王の権威を访问者に否応なく植え付けるための、ヴェルサイユ宫の壮大な天井装饰につながっていくのは兴味深い。本书はプッサンの芸术を轴に、タブローという西洋絵画の自律的形态が、装饰画との相克の中で辿った歴史を、その形式、主题内容の変容、鑑赏者との関係などから俯瞰しようという、小さな本に込めた大それた试みである。
望月 典子
庆应义塾大学叁田哲学会丛书
104页、700円〈税抜〉
※所属?职名等は本誌発刊当时のものです。