执笔者プロフィール

斉藤 道雄(さいとう みちお)
その他 : ジャーナリスト塾员

斉藤 道雄(さいとう みちお)
その他 : ジャーナリスト塾员
精神病は优れて人间的な病気なので、医疗だけでは扱えない。
そんなことをいえば、多くの専门家の顰蹙(ひんしゅく)を买うだろう。けれど精神科医のなかにも、精神病は医疗だけで治せないと考える人が少なからずいるのである。
ではどうすればいいのか。
医疗のほかに何があれば精神病は治せるのだろう。そもそもこれは治せる病気なのか。いったい「精神病を治す」とはどういうことなのか。
治す前に、そんなところで立ち止まった人びとがいる。立ち止まったというより、失败を重ねながら途方にくれ、立ちすくんでしまった人びとである。やがて彼らは考えるようになった。病気でもいい、自分はそのままでいいのだと。そのままで生きようではないかと。
すべてをあきらめたかのようなところで、彼らが见いだしたのは絶望や孤独ではなかった。人间的な、じつに人间的な笑いと安心だった。
本书は北海道の浦河町にある「ひがし町诊疗所」という精神科クリニックで、そのような変貌を遂げた人びとの记録である。この诊疗所で起きたことは、医疗がかぎりなくその役割を缩小したとき、患者ははじめて病気の当事者として现れるということだった。医疗よりも日々の暮らし、地域での生活、そして何よりも仲间とのつながりを大事にし、そこで自らを语るところからほんとうの意味での回復ははじまるということだった。
浦河町では、1980年代から「べてるの家」という当事者のグループがユニークな活动を展开してきた。彼らを支えてきた川村敏明医师は、精神科に入院していた患者を全员退院させ、その后2014年、ひがし町诊疗所を开设している。この诊疗所はいまや日本の、いや世界の精神科の最先端を歩んでいる。そんなふうに思うのは私の妄想だろうか。
もしもそれが最先端だとしても、そこにあるのは最新の医疗や技法、杰出した人材ではなかった。ただの人びとが、ただ考えつづけたのである。どうすることもできない状况のなかでなおかつどう生きるか、そのことを考えつづけ、一人ひとりが哲人になったのである。
斉藤 道雄
みすず书房
256页、2,200円〈税抜〉
※所属?职名等は本誌発刊当时のものです。