执笔者プロフィール

河野 哲也(こうの てつや)
その他 : 立教大学文学部教授塾员

河野 哲也(こうの てつや)
その他 : 立教大学文学部教授塾员
「子どもの哲学」とか、「哲学カフェ」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。それは、哲学的なテーマについて子ども同士で、あるいは、大人同士で、みんなで一緒になって考え、自由に語り合う活動のことです。私は、この10年ほど、この「哲学対話」と総称される活動に関わってきましたが、対話の仕方の指導などで各地を飛び回り、年々、忙しくなる一方です。企業に呼ばれて、「よい製品とは何か」「仕事とは何か」「コンプライアンスとは何か」などのテーマで、哲学的な対話のファシリテーターをお引き受けすることも多くなりました。哲学というと、難解な文献を、夜遅くまで読み解き、1人考えるというイメージが定着しているかもしれません。しかし、プラトンの「対話編」をご覧になった方はお分かりのように、古代ギリシャでは、政治や人生や道徳など、生活に密接に結びついているテーマについてアゴラという広場や市場で侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論をしていました。子どもの哲学や哲学カフェは、その意味で古代ギリシャの哲学のあり方への 回帰なのです。
これまで、哲学対话のやり方の指导书や绍介书、マニュアル本は数多く出版されてきました。今回上梓した拙着は、以上の実践活动の中で、私にとって大きな哲学的テーマとして现れてきた问题たちを、哲学の问题として扱ったものです。「思考力は育てることができるのだろうか」「感情と思考とは対立するのだろうか」「非合理的な人间をどう扱ったらいいのか」「対话と民主主义の関係はどうなっているのか」。これらの问いは、意外にも、过去の哲学者たちがあまり扱っていないテーマでしたが、今日、ますます重要な问题になっていると思い、手探りで论じてみました。対话力や思考力を伸ばすことは、学校教育のみならず、社会的な课题になっていると思います。拙着がそれに少しでも贡献できれば幸いです。
哲学対话に関わっている大学関係者は、庆应出身者やその方たちに影响を受けた人たちが多いように思います。ここにも、话し言叶による议论を重んじて、日本最初の演説会堂である叁田演説馆を作った福泽諭吉の考えが生きているのかもしれません。
河野 哲也
岩波书店
256页、2,300円(税抜)
※所属?职名等は本誌発刊当时のものです。