执笔者プロフィール

仓田 敬子(くらた けいこ)
文学部 学部長
仓田 敬子(くらた けいこ)
文学部 学部長
2022年7月にが策定されました。これは庆应义塾大学での研究において生み出され、また研究において利用される「学术データ」を适切に管理、保存し、可能な限り社会に开かれた形でオープンに利活用できるようにするための指针となるもので、研究连携推进本部が立ち上げた研究データ特别委员会で作成いたしました。ここで学术データとは、研究において実施された実験や観察の生データ、インタビューの音声データ、自分で収集してはいないが分析した政府の统计データなどが対象となります。
なぜこのような学术データに関するポリシーが必要とされるようになったのかは、学术研究活动において现在起きている大きな変容について理解する必要があります。その変容とは、デジタル化を前提とした「オープン」を目指す动きです。社会全体でもデジタル化が进みつつありますが、学术研究分野は社会一般よりもより早い时期からデジタル化が进展した领域です。研究における実験や観察のプロセスが自动化され、结果や分析がデジタルで処理されることはレベルの差はあれ、多くの分野で広がっています。研究成果の情报源である学术雑誌论文は、主要なものはほぼ全てが电子ジャーナルの形で流通しています。
このような研究活動の全面的なデジタル化を前提として、学術コミュニケーションにおいて近年大きな関心を集めているのが、オープンアクセスとオープンサイエンスです。オープンアクセスとは、学術雑誌論文を無料でアクセスできるよう自由に流通させようという運動です。2000年頃から電子ジャーナルが普及していく際に、高額な一括契約(Big Deal)の形式が広まり、多くの大学図書館が図書予算や他の研究費から費用を集めてこないと学術雑誌を契約できない状況に陥り、大学によっては購入する雑誌が減少していきました。本来、学術情報は公的な性質をもつもので、その情報を必要とする研究者には自由にアクセスできるようにすべきだという理念があります。その理念に基づき無料での論文へのアクセスのための多様なシステムが生まれてきました。
さらに最近では、研究成果としての论文をオープンにするだけでなく、その论文の元となった研究データも公开、共有すべきであるという主张が広がっています。これはオープンサイエンスという新しい形での研究のあり方を模索する中での出発点といえる考え方です。オープンサイエンスとは何かについては、未ださまざまな议论があり、定まった定义がありませんが、そのエッセンスとしては、研究の全てのプロセスがデジタル化し、あらゆる情报を共有しながら研究を进めていくことを理想とします。つまり、研究のアイデアや计画段阶から、観察、実験、调査の実施、そのデータの処理?分析?解釈、多様な形での成果のまとめと公表、それら全てのプロセスがインターネットやクラウドを通じてなされるというイメージです。もちろん、现在それが実现されているわけでもありませんが、その第一歩が、これまで学会発表、雑誌论文、図书という、成果の形でしか相互に共有してこなかった知识について、研究プロセスと密接に结びついた「データ」の保管、公开、共有を実施していこうという动きです。
研究データが重要であることは以前から认识されていました。日本の顿顿叠闯、米国の骋别苍叠补苍办、欧州の贰惭叠尝という国际协力に基づく遗伝子塩基配列データを登録、公开、利用できるデータベースは1980年代に开始されており、研究データの共有の成功した事例として有名です。现在の社会生活を根本的に変化させてしまった颁翱痴滨顿‐19に関しては、多くの有料论文が无料で公开され、研究データの国际的な共有もなされています。庆应义塾大学の金井隆典医学部长がその立ち上げに尽力された「」でも多くの大学や病院の协力の下、研究データを共同で分析する作业がなされています。
現在の動きは特定の研究領域に限定されることなく、世界中のあらゆる領域における研究データを適切に管理、保管し、可能な限り公開することで、これまで考えられなかったようなアプローチによるデータの再利用を促し、イノベーションの創出を志向するものです。日本においても遅ればせながら、大学をはじめとする研究機関に対して、研究データの管理、保管、再利用を支援するための研究データポリシーの制定が義務化されました(第6期科学技術?イノベーション基本計画)。今回の庆应义塾大学学术データ管理?利活用ポリシーはこのような背景に基づいて制定されたものです。
具体的には7项目が挙げられています。项目1で学术データの范囲が学术研究を目的として利用されるものと広く定义した上で、庆应义塾として、学术データを可能な限り保存し、データ作成者の意向を尊重し、多様な要因を考虑した上で、可能な限り利用を促进できる基盘の构筑を行うとしています(项目2、3)。一方で、研究者は法令、研究分野の惯习などを踏まえて、研究データ管理计画を策定し、データが検索できるように必要なメタデータを作成し、适切に保管した上で、可能な范囲でのデータ公开が求められます(项目4)。ただしそれは研究者だけに课されたことではなく、庆应义塾は所属する研究者が行うこのようなデータ管理、保管、公开を支援することも明记しています(项目5)。さらにポリシーは庆应义塾全体の指针を示したものなので、具体的な运用方针は、学问领域の惯习を考虑して、各部门が作成することとなっています(项目6)。研究データに関する动向は近年めまぐるしく変化しており、その変化に応じたポリシーの见直しは必要であることを明记しています(项目7)。
伊藤公平塾长は「研究データは次世代への赠り物である」と述べられています。このポリシーが多くの方々への「赠り物」が準备されるきっかけとなることを祈っております。
※所属?职名等は本誌発刊当时のものです。