执笔者プロフィール

藤澤 大介(ふじさわ だいすけ)
その他 : 国立がん研究センターがん対策研究所がん医療支援部部長塾员

藤澤 大介(ふじさわ だいすけ)
その他 : 国立がん研究センターがん対策研究所がん医療支援部部長塾员
これまでのがん医疗施策
わが国のがん医疗は、2006年に制定されたがん対策基本法の下、少なくも6年ごとに改订されるがん対策推进计画に基づいて、がん予防?がん医疗?がんとの共生の各分野で推进されてきた。
これまでのがん政策は、基本的に均てん化を主眼に进められてきたといえる。すなわち、がん诊疗连携拠点病院を中心として、手术?化学?放射线疗法に始まり、相谈支援、缓和ケア、支持疗法、リハビリテーション、サバイバーシップ支援(アピアランスケア、就労との両立支援など)、ゲノム医疗にいたるまで、地域格差をなくし、「日本全国どこでも同じ医疗を受けられる」ことを目指して来た*1。
2040年问题と新たな地域医疗构想
わが国で今后さらに加速すると予测される高齢化と生产年齢人口减少、いわゆる「2040年问题」は、医疗の方向性に大きな影响を与えている。
2024年12月に取りまとめられた新たな地域医療構想における議論 *2? では、人口動態を踏まえて、また、持続可能な医療従事者の働き方を考慮して、地域の実情に応じて、「治す医療」を担う医療機関と、「治し支える医療」を担う医療機関の役割分担を明確にし、医療機関を連携?再編?集約化していくことが重要であるとされた。急性期拠点機能を担う医療機関においては、手術や救急医療等の医療資源を多く要する症例を集約化した医療提供を行う、とされた。
がん医疗を取り巻く状况の见通し
高齢化はがん医疗にも影响を及ぼす。がんの罹患率は年齢が上がるにつれて上昇するが、併存疾患などに伴う治疗の忍容性の低下や、积极的治疗に関する価値観の変化などにより、85歳以上のがん患者における手术?化学?放射线治疗の実施割合は低下する。
また、患者年齢によらず、外来がん患者数は増加し、入院がん患者数は减少している。入院がん患者数の减少は平均在院日数の短缩が要因として考えられる。今后も、医疗需要の変化や低侵袭治疗の増加等により、入院がん患者数のさらなる减少が见込まれる。
がん医疗の均てん化を目指して、全国に461カ所の拠点病院等が创设?整备されてきたが、拠点病院等が存在しない空白のがん医疗圏が、2024年4月时点で全国に56カ所存在しており、今后、そのような空白のがん医疗圏における人口は全国平均よりもさらに大きく减少し、入院がん患者数はさらに减少すると予想される。
集约化に舵を切るがん医疗政策
2023年に公表された第4期がん対策推进基本计画には、医疗提供体制について、「(前略)……地域の実情に応じ、均てん化を推进するとともに、持続可能ながん医疗の提供に向け、拠点病院等の役割分担を踏まえた集约化を推进する」と述べられている。
2025年3月に开催された&辩耻辞迟;がん诊疗提供体制のあり方に関する検讨会&辩耻辞迟;では、「第4期がん対策推进基本计画を踏まえ、都道府県は、2040年を见据えた持続可能ながん医疗の提供に向け、地域の実情に応じた拠点病院等の役割分担を行う必要がある*3」と述べ、集约化に取り组む医疗として、
1.医疗需给の観点から、
①医疗需要が多い一方で医疗提供体制は必ずしも充足していない医疗
②医疗资源の散在により医疗需要と医疗提供体制のアンバランスが生じる可能性がある医疗
③医疗提供体制は充足しているが、医疗需要が少ないため、非効率な医疗提供体制となる医疗
2.医疗技术の観点から、
①新规モダリティまたは标準化されているとは言えない高度な医疗
②特殊な设备等を必要とする医疗
を候补例に挙げた。
がん医疗の集约化は、诊疗の质担保の観点からも有益である。手术疗法や放射线疗法について、症例数が多い施设のほうが治疗成绩が良いというデータが、复数のがん种で报告されている。
集约化の対象となる具体的な候补としては、小児がんや希少がんなど、频度が少ない疾患の诊断や治疗、食道がんや膵がんなどの高度な手术、高度な薬物疗法、粒子线?核医学治疗など特殊な设备を必要とする医疗、妊孕性温存疗法など频度が少なく専门技能を必要とする介入などが挙げられる(図1)。
なお、各地域で、どのような医疗をどの医疗机関に集约化していくかは、各都道府県のがん诊疗连携协议会において协议することとされている。
均てん化は新しいフェーズへ
&辩耻辞迟;がん诊疗提供体制のあり方に関する検讨会&辩耻辞迟;では、集约化と対比的に、均てん化を进める医疗として、検诊、がんリハビリテーション、支持疗法、缓和ケアを挙げ、これらの医疗については、がん予防や高齢化やがんとの共生等の観点から、诊疗所等も含めてできる限り多くの医疗机関で対応が可能となることが望ましいとした。すなわち、これらの医疗については、「がん诊疗连携拠点病院における均てん化」にとどまらず、「広く地域の医疗机関における均てん化」が目指されていると言える。
医疗机関に求められる対応
これまでの议论を踏まえて、それぞれの医疗机関はどのような対応が期待されるであろうか、若干の私见も交えて述べる。
都道府県がん诊疗连携拠点病院や大学病院本院など、専门性が高い病院では、治疗の难易度が高く、频度が比较的少ない症例(たとえば、食道がんや膵がん)を、これまで以上に周辺の医疗机関からの绍介を多く受けて诊疗を行うことが望まれる。そのような诊疗を提供するための院内リソース(スタッフ労务や手术室枠など)を确保するために、他病院で可能な标準的な治疗(たとえば、比较的早期の大肠がんや乳がんの手术など)を、他机関に绍介していく必要が生じるかもしれない。専用の机器が必要な治疗(例えば、重粒子线疗法)や、高度な化学疗法(例えば、颁础搁罢-罢疗法)についても、県内から広く患者を受け入れる必要がある。小児がんや希少がんなどの治疗も同様である。さらに、妊孕性温存手术など、频度が少ない医疗技术についても、地域から広く症例を受け入れることが望まれる。
都道府県がん诊疗连携拠点病院や大学病院本院以外の病院では、がん医疗圏(主に二次医疗圏)の中で、标準的な治疗を、状况により大学病院や都道府県がん诊疗连携拠点病院から绍介を受けて実施することが期待される。缓和ケアやがんリハビリテーションなども実施が期待される。
诊疗所など、いわゆるがん诊疗病院ではない医疗机関において、缓和ケアやがんリハビリテーション、検诊などを提供することが期待される。がん治疗が一段落した患者について、がん専门病院から地域のプライマリ?ケア医に诊疗の主体を移す诊疗モデルが国际的には提示されている(サバイバーシップ?プラン)。サバイバーシップ?プランには、定期検査(がんの再発の検出、定期検诊)、残遗症状および晩期障害への対応、併存症および全般的健康管理(ワクチン接种を含む)が含まれる。このようなサバイバーシップ?プランがわが国で定着するためには、医疗者侧の认识変革やリスキリング、患者侧の理解が必要であろう。また、在宅医疗のニーズは2040年までにさらに増すと考えられる。
市民?社会に望まれること
がん医疗の集约化が进むと、「??がんは△△病院」、「??がんは□□病院」というように、特定のがんの治疗が受けられる病院が地域の中で限定される可能性がある。一部の市民は、がんの治疗を受けるために远方まで出かける必要が生じる可能性がある。また、高度な治疗が一段落した后には、治疗の场を、がん诊疗连携拠点病院などから近隣の病院に移すことが求められる可能性があり、「手术をしてくれた先生に続けて诊て欲しい」といった患者の意向は叶わなくなっていく可能性がある。
行政机関は、これまで以上に医疗机関の配置や机能を入念に検讨する必要があり、市民は、医疗机関の利用のあり方について、地域と一绪に考えていくことが望まれる。
なお、集约化の影响は、人口过疎地域や人口减少地域で大きく、都心部など、人口过密地域や、今后も人口が増加する地域における影响は比较的小さいと予想される。
* * *
以上、がん医疗政策に関する最近の动向と今后の予测について述べた。人口动态の変化とそれに伴う疾病构造の変化を见据えて、新たな地域构想など、がん医疗にとどまらない枠组みの中で、がん医疗の提供体制を考えていく必要がある。
〈註〉
*1 第四期がん対策推进基本计画(令和5年3月28日阁议决定)
*2 新たな地域医疗构想等に関する検讨会.新たな地域医疗构想に関するとりまとめ(令和6年12月18日)
*3 厚生労働省.第17回がん诊疗提供体制のあり方に関する検讨会资料(令和7年3月21日)
※所属?职名等は本誌発刊当时のものです。