执笔者プロフィール

藤泽 武志(ふじさわ たけし)
一贯教育校 幼稚舎教諭
藤泽 武志(ふじさわ たけし)
一贯教育校 幼稚舎教諭
画像:庆应义塾幼稚舎创立150周年式典(5月30日、日吉记念馆)
幼稚舎の入学式と卒业式には、自尊馆の坛上に福泽先生の书かれた「今日子供たる身の独立自尊法は唯父母の教训に从て进退す可のみ」の掛け轴が掲げられる。この掛け轴は、1900(明治33)年、庆应义塾の『修身要领』ができ、「独立自尊」という言叶が一般化していった时に、福泽先生が幼稚舎生に示すために书かれたものである。
福泽先生は、幼稚舎の先生たちに「『修身要领』を発表して以来、猫も杓子も独立自尊を口にするようになったが、子供には决してそういうことを、そのまま教えてはいけない。あれは、ちゃんと立派に思想の固まった者が一身を処する上のことで、幼い子供が「独立自尊」などということを头に持っていて、亲の命令も従わない、教师の教训も守らないなどということになっては、以ての他である。苟(いやしく)もこの辺の意味を误解せざるよう注意せよ」と语ったそうだ。
幼稚舎では、さまざまな机会に福泽先生の话を闻いたり、福泽先生の教えや言叶に触れたりする机会がある。学习発表会で1年生が必ず歌う「福泽諭吉ここにあり」、运动会の入退场门に刻まれた「獣身」「人心」の文字、4~6年生が参加する御命日讲话、舎长が担当する6年生の「福泽百话」の授业、希望者が参加する「福泽先生ゆかりの地を访ねる旅」や、福泽先生が筑地から横浜まで歩いた道を辿る「36キロウォーク」等である。ただし、このような机会以外で、児童も教员も、日々、福泽先生の教えや言叶を意识しながら生活するようなことは、ほとんどない。どうしてかというと、创立から150年の歴史の中で、福泽先生の教えが幼稚舎の中に空気のように、目には见えないけれどもそこにあるというような形で根付いており、幼稚舎で生活しているだけで、自然と福泽先生の教えが身に付くような环境が作り上げられてきたからだと考えられる。
例えば、入学式で、舎长と新入生が交わす4つの约束がある。
「自分のできることは自分でする」
「嘘をつかない」
「先生や、お父さん、お母さんの言うことをよく闻く」
「友だちと仲良くする」
4つの约束は、福泽先生のことをよく知らない新入生にも分かりやすく、日常で実践できるものばかりとなっている。そして、この约束を守っていくことが、福泽先生のような「独立自尊」の人になっていくために必要なことであると考えられており、保护者と教员は、4つの约束を守ることを児童に心がけさせていけばいいようになっている。いつから始まったかは定かではないが、私が勤め始めてから19年间、舎长は代われども、ほぼ同じような约束をしている。先辈の先生方に伺っても、この约束は幼稚舎の伝统として受け継がれてきたことの1つとなっていると言えそうである。
また、「6年间担任持ち上がり制」が採用されているため、4つの约束を守れる子になっているかどうかを、教员は长い目で见守ることができる。「自分でできることは自分でする」とあるが、児童の成长と発达は异なるため、クラス担任は、1人ひとりの成长と発达を保护者と共に6年间かけて见守り、児童1人ひとりのことを深く理解しながら、指导を続けていくことができるようになっている。また、クラス替えもないため、「友だちと仲良くする」ということも6年间通じて実践し続けていくことができる。担任はクラスの児童が互いの违いを认め合い、助け合えるような関係になっていくことを促していく役割を担い、6年间の日々の共通体験により、子どもたちの友情は育まれ、一生の友と呼べる存在になっていくこともある。
そして、毎年3月に行われる卒業式では、1930(昭和五)年から福澤先生の奥さんである錦(きん)さんに因んでできた錦会が、卒业生に『福翁自伝』を贈る習わしも現在まで続いている。表紙を開くと、福澤家の家紋である鷹と錦夫人の実家である土岐家の家紋の桔梗がデザインされた印が捺されており、この印が捺された『福翁自伝』は幼稚舎の卒业生しか持っていない。福澤先生について書かれた本を読む機会を与えるのが卒業の時であり、児童が手元に置き、いつでも好きな時に読めるようにしているのも幼稚舎らしいと言えるかもしれない。
このように、幼稚舎でこれまで大切に受け継がれてきたことは他にもあるが、幼稚舎生にとって分かりやすく、日常的に行われていることなので、福泽先生の教えを意识せずとも、福泽先生の教えを実践できるような児童が育っていくのだと思う。
私自身、幼稚舎に勤めるまで庆应义塾には縁がなく、福泽先生のこともほとんど知らなかった。福泽先生について热心に勉强しているわけでもなく、ただなんとなく过ごしていただけだが、いつの间にか「幼稚舎と福泽先生の教え」についての原稿を书くことになっているから、不思议なものである。
※所属?职名等は本誌発刊当时のものです。