午夜剧场

慶應義塾

百瀬 雄太:生を肯定する场所をもとめて

公开日:2020.07.17

执笔者プロフィール

  • 百瀬 雄太(ももせ ゆうた)

    その他 : 古本「庭文庫」店主総合政策学部 卒業

    2012総

    百瀬 雄太(ももせ ゆうた)

    その他 : 古本「庭文庫」店主総合政策学部 卒業

    2012総

场所がほしい、とおもっていた。

その场所が、いったいどんな场所であるのか、わからなかった。

20歳のころのことだ。

ぼくは音楽をしたり诗を书いたりしていて、将来は弁护士にでもなろうかとおもってみたり、地域型のアートプロジェクトなるものをやってみたりと、なにひとつ、はっきりとせぬままに日々を送っていた。

古本屋をはじめることになったのは、ほんのささいなきっかけだった。

ぼくが暮らす、岐阜県恵那市には、个人営业の古本屋というものがどこにもなかった。

大きな本屋ならあった。けれどもぼくは、ぼくが行きたいとおもうような、すてきな场所を、见つけることができずにいたのだ。

だから、つくることにした、といえば、そうなのだとおもう。それはうそではないけれど、理由なんてものはただ、あとからくっつけたものにすぎないものともおもえてくる。

本はすきだった。すきでたくさん読んでいた。そして音楽もすきだった。古いものの匂いも、ひとがしずかであれる场所も、たいせつななにかをたいせつに扱うことも。

そしてなによりもぼくはぼく自身が、じぶん自身であることの赦される场所が、ほしかったのだと、いまでは、おもう。

そしてぼくのまわりのひとびとが、なによりもじぶん自身のかけがえのないその生を、たいせつに、生きてほしい、と、そう望んだ。それはたぶん、确かなことだと、ぼくはおもっている。

それがかたちになったのがこの场所、古本「庭文库」であるとおもう。

笠置山のふもとにたつ筑100年以上の古民家で、ふるくからたつ巨きなかやの木と雄大な木曽川とを目の前に、縁侧にすわってながめるこの自然界のゆたかさのそのなかで、ただここに来るひとたちに、みずからのありのままの自然を生きてほしい。

ぼくが愿うのはただ、それだけだ。

本たちは、そうして生きるきっかけとなってくれるようにと愿って选んだものたちで、これからもずっと、ただこの星に生きてある无数の生の存在を、抱きとめる、ゆりかごのような场所であれたらと、ぼくは愿って、仕事をつづける。

どこまでもとおくちかく、この星にあるはずのそれぞれに固有のその时をあたためながら、ぼくたちは、日々を、すごしていく。

※所属?职名等は本誌発刊当时のものです。